T2K

ニュートリノとは

自然界に存在する物質は、その構造を深く調べていくと、最終的には素粒子という、もうそれ以上分割できないものに辿りつき、2種類のクォークと 電子で構成されていることが分かります。自然界には、このほかにニュートリノと呼ばれる素粒子が存在します。ニュートリノは電荷を持っていない電子のようなもので、普段の生活で気づくことはありませんが、じつは我々のまわりにも常に沢山飛び交っています。ニュートリノの存在をみることは難しく、たとえば、とても大きな水槽に水を張って注意深く観察し、ニュートリノがごく稀に水と反応して放出される微弱な光を観測することで、初めてその存在を確かめることができます。スーパー神岡実験では、大気中で生成されるニュートリノをこのような方法で調べ、ニュートリノに質量があることを突き止めました。ニュートリノになぜ質量があるのか? 現代の素粒子の標準理論では説明出来ず、その理由はまだ分かっていません。ニュートリノの性質を詳しく調べると、現代の素粒子の標準理論を超える新たな理論体系を探る上での手がかりが得られるかも知れません。

ニュートリノ振動の精密測定

ニュートリノには、3つの種類があります。ニュートリノは、そのエネルギーや飛行距離に依存して、異なる種類へ姿を変えます。この現象をニュートリノ振動と呼びます。ニュートリノ振動を用いて測定できる量は、ニュートリノの質量の他に、混合角というニュートリノの姿を変えやすさを表す量があります。さらにCP対称性の破れ(Belle II の項参照)を表す量なども、難しいですが原理的に測定可能です。スーパー神岡実験では、大気中で生成されたニュートリノのニュートリノ振動を観測することでニュートリノに質量があることを突き止めました。ニュートリノの性質をより詳細に調べるためには、もっと素性の良い(どのようにして生成されたのかよく分かっている)ニュートリノを使う必要があります。 T2K実験では、茨城県東海村にあるJ-PARC加速器で「素性の良い」ビーム状のニュートリノを大量に生成します。生成されたニュートリノビームは地中を約300km飛行し、スーパーカミオカンデ(スーパー神岡実験で用いるニュートリノ検出器)でごく稀に反応を起こし観測されます。T2K実験では、ニュートリノの生成から観測まで、全て人工的にコントロールすることで、ニュートリノ振動の精密測定を行います。本研究室はニュートリノビームグループに参加し、より「素性が良い」大強度ニュートリノビームの生成を目指しています。

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